擬音語を多用しないようにしよう

擬音を多用しない

 擬音語(ぎおんご)、あるいは擬声語(ぎせいご)とは、音を言葉で表したものの総称です。オノマトペともいいます。

 このうち、声や音を真似たもの(ワンワン、モーモーなど)を擬声語、実際には音を出さないものの状態を象徴的に表したもの(ぴかぴか、ふわふわなど)を擬態語、というふうに分けて定義することもあります。「語」を省略して「擬音」と呼ばれることも多いです。

擬音語の使い方に気をつけよう

 小説において擬音を多用するのはあまり好ましいことではありません。効果的に使えば強い印象を与えることができるかもしれませんが、文章で表現することを放棄していると受け取られかねないので、基本はやはり比喩などを使って書き表すほうがいいでしょう。そうすることによって文章の厚みが増す効果も得られます。

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ドカーン! と大きな音がして、床と壁がビリビリと震えた。振り返ると教室のドアの隙間から煙がもくもくと上がり、天井を這うようにぼくのほうに迫ってくる。なにも考えられず立ちすくんでいると、突然廊下の窓ガラスがガシャンと割れて、覆面をした男が飛び込んできた。

 上の文章で、擬音語は「ドカーン!」「ビリビリ」「もくもく」「ガシャン」の四つです。擬音の中でも破裂音を表すものを文章で使うと安っぽくなるので、「ドカーン!」と「ガシャン」は外します。

 「ビリビリ」と「もくもく」はよく使われる表現ではありますが、連続した文の中に登場するとうるさく感じるため、どちらかひとつに絞ることにします。ここでは「天井を這うように」という比喩表現があるので、その近くにある「ビリビリ」と「もくもく」を比喩表現に置き換えることはやめ、「天井を這うように」の手前にある「もくもく」を削り、「ビリビリ」を残すことにします。

 添削したものは以下になります。


耳をつんざく大きな爆発音が響き、床と壁がビリビリと震えた。振り返ると教室のドアの隙間から煙が立ちのぼり、天井を這うようにぼくのほうに迫ってくる。なにも考えられず立ちすくんでいると、突然廊下の窓ガラスが砕け散り、覆面をした男が飛び込んできた。